アメリカで寒い時期に集団感染?ノロウイルスについて知っておきたいこと
03.10.2025 | ブログ

3月になりましたが、まだ寒い日が続きます。
寒い時期には体調を崩しやすいものですが、中でも寒い時期に米国各所で集団感染事例がみられるのがノロウイルスです。
今回は、ノロウイルス感染症とは何か、アメリカでの流行状況、予防や感染した場合の対処法など、米国在住者に知っておいていただきたいことを解説します。
ノロウイルスとは?
ノロウイルスとは、冬に流行しやすい感染性胃腸炎の原因となるウイルスの1つです。日本でも感染流行がニュースになることがありますので、名前に聞き覚えのある方も多いと思います。
感染者の主な症状としては、嘔吐、下痢、腹痛、発熱などが挙げられます。
年齢に関わらず感染すると少なからず症状が出ますが、特に5歳以下の子どもや85歳以上の高齢者が感染すると重症化リスクが高いとされています。
汚染された食品や水、または感染者との接触によって感染することがほとんどです。非常に頻繁に見られるのが、生牡蠣などの貝類、生野菜、フルーツなど、鮮度管理が十分でなかったり調理不十分だったりする飲食物が原因での感染です。
アメリカでのノロウイルスの流行状況
冬季に感染が増加するノロウイルスですが、年中感染例が見られます。アメリカの疾病対策予防センター(CDC)によると、アメリカでは特に11月から4月ごろにかけて感染者が増えるそうです。
学校やレストランなどで集団感染が発生することもあり、なかなか事前に感染源を察知して避けるといったことは難しいのが実際のところです。
今シーズンは、一部の州のデータ傾向を見ると、なんと2024年12月から2025年2月までの間で、ノロウイルスの集団感染もしくは感染疑いの事例が例年を大きく上回ったと報告されています。(疾病対策予防センター|NoroSTATより)
全米で見ると2024年には195件のノロウイルス集団感染事例が報告されており、そのうち70件が2024年12月に発生したとも言われています。(NJ Spotlight Newsより)
予防策
ノロウイルスは、接触や飛沫による感染はもちろん、空気感染する恐れもあるウイルスです。
そのためノロウイルス感染の予防策としては、基本的に感染の元となるウイルスを極力避けること、また、きちんとこまめに消毒を行なってウイルスを除去するのが有効です。
例えば、以下のような方法が挙げられます。
- 石けんを使った手洗いの徹底
- 加熱が不十分な食品の摂取を避ける
- 感染者との接触を避ける
特にナマモノや十分に加熱調理されない食べ物はできるだけ避け、食べる場合はしっかりと鮮度管理されているか確認しましょう。
また、嘔吐や下痢、発熱、腹痛などの症状があり感染が疑われる場合は、他の方への感染を防ぐためにも飲食物の取り扱いをしないようにしましょう。
感染したらどうする?
感染した場合は、他の感染性胃腸炎などと同様に基本的には症状に対して対処療法を行うことになります。
感染したと疑われる場合の対処法としては、以下の方法が挙げられます。
- 水分とミネラルの補給をしっかり行い脱水症状を防ぐ
- 感染者とのお手洗いの共有や食べ物のシェアは避け、感染拡大を防ぐ
- 安静にし体温管理や症状を観察する
嘔吐・下痢がひどい場合や高熱が続く場合、水分や食事がしっかり取れない場合は医療機関へご相談ください。
場合によっては、下痢止めなどの薬の服用は望ましくない場合もあります。薬の服用はできるだけ医療従事者の指示に従ってください。
特に赤ちゃん・幼児や高齢者の方は細心の注意と早めの処置が必要です。
脱水症状や幼児・高齢者の高熱など、緊急時や急を要する場合は、最寄りのUrgent Careや病院の救急(Emergency Department)を受診してください。
事前のご連絡・ご予約のうえ、ひばりファミリーメディカルでの診察も可能です。お気軽にご相談くださいませ。
出典
Norovirus Outbreaks - CDC (January 2, 2025)
https://www.cdc.gov/norovirus/outbreak-basics/index.html
NoroSTAT Data - CDC
https://www.cdc.gov/norovirus/php/reporting/norostat-data.html
Norovirus cases surging in New Jersey - NJ Spotlight News
https://www.njspotlightnews.org/video/norovirus-cases-surging-in-new-jersey/